Monday, January 30, 2012

「子供の学び支援ポータルサイト」

文部科学省がやっている、「東日本大震災、子供の学び支援ポータルサイト」で、南極点よりメッセージがほしい学校を募集しました。私の支援実現の様子がサイトに載りました

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質疑応答

日本の中学校より寄せられた、南極点でやってほしい実験、質問などに答えました。

1.豆腐で釘は打てるのか?
お豆腐がなくて実験できません。

2.バナナで釘が打てるのか?
誰かが飛行機で持ってきた腐ったバナナを見つけたので実験してみました。凍ったバナナで釘は打てたけど、バナナのほうが凍っていても弱いのでぐ ちゃぐちゃになっていって、釘一つにつきバナナ一つが必要だとわかりました。

3.凍ったトマトで釘は打てるのか
トマトは南極点には届けられないのでできません。基本的に新鮮な野菜はありません(冷凍のみ)。

4.方位磁針はどこを指すのか?
磁界の南極点を指します。磁界の南極点は海の上で、地軸が通っている南極点(私がいるところ)とは違うんですよ。だから世界で一番南にいるけどコ ンパスは違うところをさします。

5.ポテトチップスの袋はどうなるのか?
飛行機の中や山の上と一緒で、標高が高いので膨れます。

6.シャボン玉をふくとどうなるか?シャボン玉は凍るのか?
凍るまえに壊れてしまいました。風が強いのと、シャボン玉専用液ではなく石鹸水しかないのが敗因かも?

7.ぬれたタオルを振り回すと,タオルはどうなるか?
そんなにすぐは凍りません。振り回している私が先に寒くなってしまって中へ非難しました。(5分ぐらい?)

8.スーパーボールははずむのか?
南極大陸上陸前にスーパーボールが手に入りませんでした。面白い実験ですね。やってみたいです。

9.ストローでお茶は飲めるのか?
お湯は飲めました。

10.沸騰させたお湯をまくとどうなるか?
今は気温が寒くてもマイナス30度程度なので液体として地面に落ちます。でも、
冬に-70度でやると蒸発します。

11.こんにゃくは凍るのか?
こんにゃくは手に入りません。ぜひ冷凍庫に入れて実験してみてください。

12.ペンギンが見たい。だっこしたい。
南極点は海から数千キロ離れていて3000メートルほどの標高があるのでペンギンはいません。

13.南極でも花火は普通にできるの?
花火の持ち込み事態が許されていないです。

14.アザラシやシャチが見たい
質問12参照。沿岸沿いの基地なら見れます。

15.バラの花を外に出すとどうなるのか
南極点には植物が一切ありません。持ち込めません。

16.火はつくのか
これは大事な問題です。冬場は寒すぎて飛行機が着陸、離陸できないので物資をパラシュートをつけて飛行機から落とします。飛行機は南極点を冬場通 過することが可能ですが、いったん止まってしまうと寒すぎてエンジンが壊れてしまいます。そこで、物資投下をするのに投下点を記す大きな焚き火がさ れます。冬は太陽が昇らないので8ヶ月ずっと夜のままです。なので火が一番の目印です。
焚き火は木や、石炭、ガソリンなどは寒すぎて火がつかないので飛行機の燃料を大きなたるに入れて点火します。これも寒すぎてなかなか火がつくまで 大変だそうです。

17.バケツに水を入れて回すとどうなるのか
よほど少しの量の水でない限り液体のまま回ります。南極点の空気は寒すぎて空気中に水分を保つことができません。よって湿度がほとんどないです。 湿度がない空気は熱伝導率がとっても低いです。-25度の鉄を触るとやけどするけど-25度の空気を触ってもやけどしないのは鉄は熱伝導率が高い けど空気は低いからです。空気はもともと熱伝導率が低いけど湿度が低ければ低いほど熱伝導率ももっと低くなります。

18.お湯を放置して、どのくらいで凍るのか知りたい
お湯の量によります。数滴なら一分かかりません。コップいっぱいだと一時間弱かかります。理由は質問17と同じ。

19.寒い地域で花火がどうなるのか知りたい
許可されていません。

20.太陽は沈むのか?
太陽は1年に一度沈んで、一年に一度のぼります。南極点では1年で昼と夜が一回しかないのですよ。夏の間は太陽は常に昇っています。そして一日中 ほぼ同じ高さです。冬は太陽を7ヶ月近く見れないんですよ。

21.地球温暖化の影響で氷は溶けているのか?その他温暖化の影響を感じるこ
とはあるのか?
氷が解けるのは沿岸沿いで起こる現象なので南極点ではおこりません(いずれにしろ寒すぎるので)。空気の中の汚染物の観測がここ南極点では世界で 一番長く続けられています。その測定値に影響が出ているようです。また、オゾン層の破壊で常に、目を紫外線から守らなければなりません。もちろん 皮膚もですが、外にいるときは寒いので皮膚の露出はほとんどありません。

22.南極に行くのにパスポートは必要か?
基本的には必要ないですが、身分証明書は持っていたほうが賢明ですね。

23.一番つらかったことたいへんなことは何か?
海抜0メートルからいきなり飛行機で標高3500m近くに来たので体が標高になれる時間がなく、高山病で5日間苦しみました。また、空気中にまっ たく湿度がないので常に肌が乾燥し、鼻をかむたびに出血します。シャワーが一週間に4分だけなのもつらいですね。とてもじゃないけど快適と言える環境ではないので、寒いところでのキャン プみたいな生活で、我慢することがいっぱいです。

24.オーロラは見えるのか?
今は24時間昼なので見えません。冬はとってもきれいに見れます。

25.植物は,はえているのか?
まったく生えていません。

26.休憩時間は何をしているのか?
みんなでDVDを見たり、本を読んだりしています。トランプ遊びなどもします。

27.TVでとても寒いところでは,ウイルスが寒さで死んでしまい風邪や病気
にならないと聞いたが本当か?
本当です。外はまったくウィルスがありません。ただ、基地内は暖かくて、人がいて、その人たちは飛行機でよそから来て、常に暖かい場所にいたので、外から持ってきたウィル スが基地内でうつる事はあります。

28.星はきれいなのか?南十字星は見えるのか?
一日中太陽が上っているので見れません。冬は一日中星がきれいだそうです。

29.絶対にもっていかないといけないものは?
水筒(とっても乾燥しているので常に水分補給をしないと病気になります)。防寒着(国より支給)。

30.水の渦巻の向きは?
南半球のほかの場所と一緒で反時計回りです。

31.水はきれい?氷はおいしい?
とってもきれいでおいしいです。世界で一番きれいな水かも?

32.氷の厚さはどのくらい?
私の足の下、2.5kmは氷です。その下に大陸があります。

33.南極ではどのような観測がされているのか?
たくさんの化学実験、観測がされています。宇宙天文学(宇宙創成時に放たれた光を観測する研究)、気象観測(南極点の特別な気象環境の研究)、地 学(南極点の大陸そのものの研究と氷の観測)、天文学(空気が乾いているので星の観測にぴったり)、私のやっているニュートリノの観測などです。

34.移動手段に今も犬ぞりを使うのか?
南極大陸では外から動物を持ち込むことが今は禁止されています。特別な環境を守るために、外からの生きたものはすべて持ち込み禁止です。

35.南極の魅力は?
南極点は地球の一番下、世界でもっとも南で、とても人が生存するのに厳しい場所です。その中で、いろいろな国から来た人たちが力を合わせて、南極大陸の特別な環境を守りつつ、たくさんの科学実験を行うのを見ると、人類の可能性みたいなものを垣間見ているような気がします。

36.今、何人くらいいるのか?
南極点の基地、アムンゼン・スコット基地には今、200人ほどが滞在しています。そのうち科学者が50人程度(私の実験からは私を含めて6人)。 ほかの150人ほどは、基地の維持のためにさまざまな仕事をしています。発電機の管理、飛行機の燃料の保管、大工、電気工、シェフ、管制塔、パイ ロット、ごみの始末(ごみはリサイクルできるものはすべてして不可能なものはアメリカへ送ります)、コンピュータの管理、工事、雪の滑走路の整備などなど。

37.他に動物がいるのか?
南極点には生き物は二つだけ。人間と、本当にたまに迷子になったトウゾクカモメが上空を飛ぶのが年に一回ほど見られます。

38.南極点からどのくらいの位置か?
基地は南極点のすぐ隣、10メートルぐらいです。ちなみに南極大陸そのものはアメリカ合衆国よりもはるかに大きいんですよ。(比較的)温暖な地域や、氷河に覆われている部分、真っ白な険しい山脈や、とっても標高の高い平地などさまざまな地理が存在します。南極点はそのなかでもとっても標高が高くて寒いほうです。日本の基地のひとつ、「ドームふじ」はさらに環境が厳しいと聞きます。

39.南極ではどんな食べ物を食べているか
アメリカの基地なのでアメリカの料理が多いです。食べ物はすべて冷凍されてきます。その割にはおいしいです。ただ、生野菜などが恋しくなります。

40.寒さの対策法はあるのか
防寒着をしっかり正しく身につけること。汗をかかないように体温調整。必要以上に外にいないこと。しっかり食べる。指先、鼻の頭など凍傷になりやすいところをカバーし、お互い仲間同士、凍傷が始まっていないかを確認しあうこと(凍傷初期症 状の発見は自分より顔を見れる仲間の場合が多い)。


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仲間

南極点で一緒に活動した同僚たち。


このうち二人は毎年採用される越冬隊員に選ばれた二人。もともとは実験に参加している人ではないので、あなたもアイスキューブ実験の越冬隊員に応募できます!2013年、南極点で明るい半年と2014年暗い半年を過ごしてみては?


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Saturday, January 28, 2012

帰路

いよいよ南極点を、そして南極大陸を、去るときがきました。

南極点から飛び立ったときの様子は以前、リアルタイムで書いたのですが、この後、マクマード基地に戻りそこで一泊します。(実際は「半泊」。午後4時に南極点より到着し、ニュージーランド行きの飛行機が午前3時発のため、0時集合)。

2,3週間ぶりに戻ってきたマクマードはだいぶ氷が解けていました。



残念ながら、ペンギンたちはまだマクマードに姿を見せてなかったのですが、アザラシが泳いでいるところが見れました(写真でわかるかな?)

マクマードのカフェテリアで食事を済ませ(ちなみにマクマードもカフェテリアは一つだけど1000人対応で大きい)、基地にある「コーヒーハウス」と呼ばれるカフェでワインをグラスで一杯だけ、飲みに行きました。ずっと高山病が怖くてこの旅は、まったくアルコールを飲んでなかったのでクリスマスぶりの1杯。南極大陸、最後の「夜」に乾杯です。

午前0時に集合場所に行き、午前2時には 「ペガサス」へ。この滑走路もこれで最後です。

ニュージーランドから到着したばかりC-17と私たちの荷物。

荷物を詰め込み私たちも飛行機に乗り込みます。
このころにはマクマードは曇っていました。

無事ニュージーランドに朝、つきます。この日はニュージーランドはクライストチャーチで一泊。翌日、民間機 でアメリカまで戻りました。

クライストチャーチで見る、三週間ぶりの「日没」と「夜」。



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南極点の「すごい!」その6:地下トンネル

南極点滞在中の、最後の冒険は、基地の地下にあるトンネルを訪ねることでした。

アムンゼン・スコット基地では上水の採掘と下水の最終処理を地下で行います。地下トンネルは「アイス・トンネル」と呼ばれ、実際、氷(圧迫された雪)を彫り下げただけ出来ています。




上が上水、下のパイプが下水。パイプは箇所箇所で暖められ、しっかりとした断熱素材で囲んで、凍結を防ぎます。


私たちが基地で飲む水は、約1万年前、南極点に降った雪!

すべての洞窟や地下室がそうであるように、このトンネルも一年を通しての地上の平均気温が常に地下で保たれています。南極点の平均気温は摂氏マイナス50度。よって、地下トンネルは夏でもその温度です。ちなみにこの日の地上の温度はマイナス26度。


マイナス50度で、まず、体に起こる現象は、「まばたき」がしづらくなること。上のまぶたと下のまぶたが凍ってくっついて目がとってもねちねちした感じになります。そして息をするとのどが痛くなること。徐々に髪の毛や、まつげなど、カバーされていない部分が凍っていきます。



新しく掘りだしいているトンネルの支流の先端。5年後の基地の水は、この先をいったところから採掘されるそう。



だんだん凍ってきた私。 帽子や首に周りのネックゲーターなど、私から汗や水分が蒸発するところはすべての蒸気が凍りつきます。

最終的にはこんな風になりました。


ちなみにもっとまつげが長い子だとこんなことに!
そのまつげ、ほしい。。。。



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Wednesday, January 25, 2012

南極点の観光客

南極点へは観光客が来るのですが、今年はアムンゼンとスコットの南極点到達100周年と言うことでいつもに増して観光客が多く着ました。私が滞在中に30人ぐらい。

観光客は大きく分けて2種類で、たくさんのお金をかけて飛行機をチャーターして数時間、南極点にいるだけで、そのほかはチリ側の沿岸沿いの施設に短期滞在する人たちと、もう一つはいわゆる「アドベンチャー観光客」で単独、グループで、海岸からスキー、徒歩などで40日近くかけて南極点へ来る冒険家たちです(もちろんテント泊、厳しいキャンプ生活)。ちなみに後者も、とってもお金がかかります。

この冒険家たちもさまざまな人たちで、女性、男性、ヨーロッパ、アメリカ、南米、日本、などさまざまなバックグランドと、さまざまな理由でこのような冒険をしようと思いつくみたいで話していて面白い人が多いです。そして、驚くぐらいたくさんの人がエベレスト登頂経験者です。なぜ南極を自力で渡ろうと思ったかについては、「7年付き合った彼氏に振られて、すごいことをしようと思って、スキーで横断したら世界記録を出してしまった」というとんでもない女性や、英国軍人でスコット、アムンゼンがそれぞれとったルートに興味があり、両方とも自分の足で歩いてみたかった、など、いずれにしろ「何で?」と言う私の心の呟きばかり聞こえてきそうな、回答ばかりでした。世の中すごい人がいるもんです。この後、エベレストを何回登ったことがあるか、他はどの大陸の最高峰に言ったことがあるかなどに話題が移り、私はめまいがしてきました。

南極点を記す棒と国旗の後ろに見える二つのテントがアムンゼン・スコット基地のビジターセンター。その奥には観光客用の宿泊地に広がるテント集落と観光客の飛行機。

南極点で科学活動をするため国の政府を通してきている私たちと、非政府機構(NGO)を通してきている観光客と、お互いの活動を尊重すべく、住居地、活動地などが分けられています。そして許可なしではお互いの施設へ行き来できません。でも真ん中にあるビジターセンターで時々交流会が行われます。
ビジターセンター正面。

交流会が私の滞在中に行われたので行ってみました。テントの中の様子。

私たちの実験、アイスキューブの説明を観光客にする同僚たち(順番に、スヴェン、トーステン、デーブ)。


数週間シャワーを浴びてない人たちと、1週間シャワーを浴びてない私たちの、汚い同士の交流会。

この交流会で出会ったグループの一つは、アイスランドからで、日本車のトヨタを改造して南極横断をしようというグループでした。彼らの車に乗せてもらいました。

車はガソリンやディーゼルでなく、やはり、ジェットエンジンの燃料で動くようになっており、たくさんのギアに加えて、タイヤの気圧を替えるボタンなどがあります。
 このように、整備されている(基地が整備した)、硬い雪の上を走るときは普通のオフロード車に感じますが、この後、雪の深い整備されてないところを走ってもらい、まったく感じが変わります。ちなみにタイヤは3PSIまで気圧を落として、空回りして墓穴を掘らないように慎重に走ります。

ロールケージや、前後にあるケージは、クレバスに車が落ちた時よう。車がクレバスに落ちたときの死因は底に当たったときの衝撃ではなく、大体の場合が、狭くなっていくクレバスを落ちながら車がつぶされるための圧迫死。よって、車が圧迫されずに引っかかりさえすれば、人間だけを車から引き上げて、救出することが可能です。。。。って恐ろしい。

 反対側(観光客側)からアプローチした場合にみえる、「アムンゼン・スコット基地へようこそ!」の看板。


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Tuesday, January 24, 2012

南極大陸の乗り物






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どうでもいいこと






南極点からマクマード基地に帰るC-140Hのコックピットの中、、、、。

トップガンと呼んでくれ。"I'll be your wing man"


 南極横断山脈は、いつ見ても壮大で、この日はきれい!




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Monday, January 23, 2012

南極点の日常

南極点の基地は新しく、快適なので、そこで暮らせると思ってやってきたら、幸か不幸か、夏の間のあふれてる人口を収容するためのテントに部屋が割り当てられた(涙)。

朝鮮戦争でアメリカ軍が使った(はい、50年以上前)、TVドラマ「MASH」で有名な、ジェームズウェイと言うテント。ここでは通称サマー・キャンプ。


私のジェームズウェイの入り口。


暖房はもちろん効いていますが、防音がまったくなく、飛行機が飛び立つたびにうるさい。そして狭くて汚くて、憂鬱な室内。トイレが別棟でブーツ、ジャケットをいちいち着なくてはいけない。



狭すぎていまいち室内の写真がうまく取れない。暖かいけど湿度0%。 

ちなみに電気を消して動き回ると、ピンクの毛布に静電気が走り、ぱちぱちと言いながら青白い花火が見れる。うーん、ワイルド。


私のジェームズウェイ入り口から見た基地の建物(裏側)。毎日の通勤路。

基地内での私たちのオフィス。
ここで仕事をしていました。

カフェテリアの食事。冷凍で来る食材しかない割にはとってもおいしい。キャベツやにんじんなど冷凍にむく生野菜は和え物にして出るけど、それ以外、生野菜はない。




この日は、飛行機でオレンジが来たので一人一つ、オレンジが配られる。
  
私の同僚たち。はい、みんな男性。物理なんてこんなもんさ。




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南極点の「すごい!」その5:南極点横断隊の人々

アメリカに無事に戻ってきましたが、まだまだ載せたい写真がいっぱいあるので更新を続けます。

南極点に到着して、高山病が一段落したころ、 「横断隊」が到着した!と言うニュースが基地に入ってきました。南極点横断隊の人たちはマクマード基地から南極点まで、トラックで南極横断山脈を渡ってきます。トラックの後ろにはたくさんのモジュールと呼ばれる荷台を引いてきます。

南極大陸は道路があるわけではないので雪やクレバス、氷河の上を探りながら、運転します。大体の「安全なルート」は前年からわかっているとはいえ、毎年変わる雪や氷河の状況、のぼりのきつさなどを、自ら図りながら前進します。一番前のトラックはクレバスを探知するセンサーがつけられており、狭いクレバスなら気をつけて渡って行くし、大きすぎる場合は爆破して壊し、その上を運転します。ちなみに「大体安全なルート」を確保する場では4年もの試行錯誤が横断隊によって毎年されたそうです。

ほとんどの物資は空輸される南極点の基地ですが、どうしても常に緊張するのは基地にある 燃料の在庫。南極点の基地ではすべての燃料(発電、暖房、乗り物すべて)にジェット・エンジンの燃料が使われます。石油やガソリンは寒すぎて使えないからです。よって、ジェットエンジンの燃料は生命線。いかに夏の間に越冬へ備えての十分の燃料が基地に届けられるかが課題となります。前にも書いたように、飛行機での燃料の空輸は常に行われるのですが、だいたい1ガロンの燃料を運ぶのに2ガロンの燃料が使われます。トラックによる横断隊だと1ガロンの燃料を1ガロンで運ぶことができるのです。よってトラックの一番の荷物はジェット燃料。トラックの後ろに風船のような入れ物に燃料を入れてるくらんだビニールがつながれ、運ばれます。

横断隊のトラック。トラック8台と8人で横断隊で形成されます。要するにみんな運転士。



トラックの正面。とっても大きい!私と比べてみてください。

すごいタイヤ。トラックの故障などもすべて自分たちで修理できるよう、備品なども運びます。吹雪の中での修理はつらかったそうです。(そりゃそうでしょう!)

大体片道、19日でマクマードから南極点へこれるそうです。横断隊は往復任務で、この後、1週間の南極点基地での休憩のあと、横断隊の人たちは再びマクマードへ向けて出発しました。

このように、キャンプカーみたいに 住居モジュールも「そり」をつけて自分たちで引いていきます。‘

住居モジュールの中。結構快適そう。案内してくれた、かっこいい横断隊員のお兄さん。後ろに見える部屋はベッド。二段ベッドが二つ。狭そう。

毎朝、ここでミーティングをして、誰のトラックが何をひいていくかを検討するそうです。大体一つのトラックにつき2,3個のモジュールがつながれます。キツイ坂だと一つ一つのモジュールをトラック二つにつなげて一個一個あげていくそうで 、何度もトラックは往復するそうです。前にも言ったように、ほとんどのモジュールは燃料。

モジュールとモジュールのつなぎ目。「ごみ」(トイレから来る汚染物)などが蓄えられる場所。

そろそろ無事マクマード基地に着いたかな?往復業務、ご苦労様でした。

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